第一内科は、1980年4月に鈴木 宏初代教授(後に山梨医科大学学長)のもと消化器病学を中心に担当する山梨医科大学内科学講座第一教室として開設されました。同時に消化管疾患および消化器内視鏡を専門とする藤野雅之助教授(後に第一内科第二代教授)が赴任され、また1983年の附属病院開院期には、肝臓を専門とする赤羽賢浩講師(後に助教授)、膵臓を専門とする池田昌弘講師が着任され、消化器内科としての体制が確立しました。
鈴木 宏先生は肝臓病学の権威であり、日本住血吸虫症の浸淫地であり、肝炎ウイルスに関連した肝疾患が極めて多い山梨県において、当科を肝疾患診療の拠点に育てあげられました。さらに、海外との医学交流も重視し、特にアジアの肝炎については、その対策に日本が積極的に取り組むべきであるという信念のもと、インドネシア大学およびフィリピン大学と「肝炎と肝細胞癌に関する共同研究」のプロジェクトリーダーとして活躍され、当科からもこれらの大学に赴いて診療協力や共同研究に従事するとともに、アジア各国から約20名の研修生を受け入れてきました。1986年には初めての山梨医科大学第一期卒業生が誕生し、他大学卒業生を含めて7名の入局者を迎えました。

教室の歴史


1992年4月には藤野雅之先生が第二代教授に就任されました。消化器内視鏡および内視鏡画像デジタル管理システムの開発、消化管運動、ヘリコバクター・ピロリ感染症の研究などの領域で大きな功績を残されました。特に、OMED(世界内視鏡学会)のMST(minimal standard terminology:内視鏡のコンピュータ用語集)作成にも関わられ、内視鏡用語の標準化に尽力され国際的に貢献されました。
さらに内視鏡画像をデジタル情報として保存、管理するシステムの開発にはいち早くから従事され、大規模病院を対象としたシステムとしては世界最初となる内視鏡画像デジタル管理システムが当院に導入されました。
これにより、内視鏡画像の患者さんへの説明や教育、研究への利用に画期的な変化がもたらされました。基礎研究においても、消化管運動、Brain-gut peptideなどの研究に精力的に取り組まれました。
2003年9月に榎本信幸先生が第三代教授として着任されました。「患者さんに親身、仲間と団結、自分を切磋、常に挑戦」をモットーとして掲げて、消化管、胆道・膵臓、肝臓を3つの柱として、それぞれを専門とするチームが発展していきました。肝臓領域では、厚生労働省の研究班・AMEDの主任研究者施設として肝疾患研究を推進するとともに、肝疾患センターとも連携しながら多くの肝炎患者さんの治療を行いました。消化管領域では、2006年にダブルバルーン内視鏡を、2008年にカプセル内視鏡を導入し、小腸疾患の診断、治療が大きく進歩しました。
治療面でも、消化管悪性腫瘍に対する粘膜下層切開剥離術をいち早く導入し普及に貢献されました。胆道・膵臓領域では、開発当初から関わったラジアル型超音波内視鏡を用いた診断に加えて、2009年からはコンベックス型超音波内視鏡を用いた超音波観察下穿刺吸引術を導入し、診断から治療まで幅広く胆膵領域の症例が増加しました。
2021年4月~2023年3月には山梨大学医学部付属病院 病院長を務められ、「すべての患者さんに安心を」の理念のもと、医療の安全そして、コロナ渦で混乱した医療環境整備、財政規律の改善に取り組まれ大きな成果を上げられました。

