肝臓領域

肝臓疾患に対して
専門性の高い
検査・治療を行っております。
山梨県はC型肝炎患者が多い地域ですが、近年の抗ウイルス治療の進歩により入院することなく外来で2-3か月の短期間の内服で100%近い確率でウイルスを排除できるようになりました。さらにはほとんど副作用がなく、肝機能が低下した非代償性肝硬変の場合でも治療が可能です。
当院ではC型肝炎ウイルスを次世代シークエンサーで解析することが出来るため、残念ながら治療に失敗したC型肝炎ウイルスの精密検査を行い、治療が難しいウイルス遺伝子変異が無いかを確認した後に再治療を行うことができます。
C型肝炎


消化器内科では肝細胞癌 (HCC)に対し根治的局所治療であるラジオ波焼灼療法 (RFA) 、マイクロ波焼灼療法 (MWA) を手術室やRFA専用の部屋で行っています。治療時にはCTやMRIなどの画像情報をfusion imagingでエコーと同期させHCCを正確に同定し焼灼を行います。さらに超音波用造影剤や人工腹水や人工胸水を用いてより正確で安全な治療を行います。治療中の疼痛に対しては、緩和ケアチームと連携し、自己調節鎮法 (PCA)を用い疼痛緩和を行います。
進行したHCCでは手術適応を検討し、切除不能な場合には最新の知見にもとづき、免疫チェックポイント阻害薬や分子治療薬の導入を行います。また、患者様によっては当院放射線科の専門医師によるカテーテルを用いた肝動脈化学塞栓療法 (TACE) や肝動脈化学療法 (TAI) を受けて頂き、治療が難しい部位には放射線治療を提案します。患者様の肝機能と癌の広がりを考慮し、患者様に合ったより効果的な治療を提案します。
肝細胞癌
近年抗ウイルス薬の進歩によりウイルス性肝炎によるHCCは減少傾向にありますが、脂肪肝が原因と考えられるHCCは増加しています。脂肪肝で予後が悪いのは肝臓が硬い症例です。
当院では肝臓の硬さを測定する最新の検査であるMRエラストグラフィを受けることができます。当院では脂肪肝に対する評価、改善を目的に2018年8月に脂肪肝外来を開設し、2024年までに計500名以上の患者様を診察しております。食事療法や運動療法による減量を行いながら、必要時に内服処方を行い脂肪肝患者様の予後改善を目指しております。
脂肪肝


B型肝炎では肝炎や肝臓が硬くなっている線維化進展の方が抗ウイルス治療の適応となります。ウイルスの状況を把握しながら、必要時に抗ウイルス治療を行い、HCCが発生しないかスクリーニングの画像検査を行います。
B型肝炎
血液検査や画像検査だけでは診断が難しい肝障害や肝腫瘤に対しては、経皮的肝生検、経皮的肝腫瘍生検も行っています。
その他


慢性肝疾患では経過とともに肝臓が硬くなり肝硬変に進展します。以前はC型肝炎やB型肝炎といったウイルスによる原因が多かったですが、最近では脂肪肝やアルコールといった非ウイルス性の原因で生じることが多くなっています。
肝硬変では肝機能が低下し、黄疸や腹水、認知機能が落ちる肝性脳症、さらには肝細胞癌の発生、食道静脈瘤の出血など様々なイベントを起こします。当院ではイベント発症が起こらないよう、服薬調整や栄養指導、スクリーニング検査といった様々な視点で肝硬変治療を行います。また放射線科と連携し、胃静脈瘤出血ならびに肝性脳症の原因血管を閉塞する高度な医療であるバルーン閉塞下逆行性経静脈的閉塞術(B-RTO)や、門脈圧の改善を期待した部分脾動脈塞栓術(PSE)も行っております。