鈴木雄一朗先生のMASLDに関する研究が Hepatology Research に掲載されました
- 山梨大学医学部消化器内科
- 7月3日
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山梨大学消化器内科の鈴木雄一朗先生の研究論文が、肝疾患領域の国際学術誌 Hepatology Research(2025年5月号)に掲載されました。
今回発表された論文のタイトルは「Evaluation of weight loss and improvement of steatotic liver disease using magnetic resonance imaging in patients with metabolic dysfunction associated steatotic liver disease(代謝機能異常関連脂肪性肝疾患における体重減少と肝疾患改善のMRI評価)」です。

MASLD(Metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease)と診断された患者さんに対して、低炭水化物食を含む栄養指導を実施し、その前後でMRIやFibroScan®を用いて肝脂肪や線維化の変化を非侵襲的かつ定量的に評価した研究です。
対象となった111名の患者は、1年間の食事療法ののち、平均で4.2kgの減量を達成しており、MRIによる肝脂肪量(PDFF)は体重減少が大きいほど有意に改善していました。とくに、体重の5%以上を減らした群では、MRI-PDFFの顕著な改善だけでなく、肝線維化の指標であるMREの低下、さらにはALT(肝酵素)の正常化や30%以上の低下も多くの症例で認められました。解析の結果、MRIやALTの改善を得るための体重減少の最適な目標値は「5.3%」であることが示され、薬剤を使用せずとも、生活習慣の改善により肝機能が大きく改善しうることが科学的に裏付けられました。
これまで、体重減少と肝疾患の改善との関連性をここまで定量的に評価した報告は限られており、本研究はMASLD治療における明確な指標を示す、非常に意義のある成果といえます。
鈴木先生、このたびの論文掲載、誠におめでとうございます。今後のさらなるご活躍を、教室一同、心より楽しみにしております。